対人援助をしていると、対象者との関係を考えることがあります。というよりも、基本的には支援をする上では、その関係性を意識することは大切なポイントであると思っています。その関係性とは、援助をする側とされる側の関係(専門的援助関係)から逸脱していないか、距離が近すぎないか遠くないかなどですが、その関係性の元になるのが、双方の感情です。
カウンセリングを行う上では、序盤にジョイニングや波長合わせといって、クライエントに合わせて、一緒に問題について考える共同体のような雰囲気を意図的に作り出します。なので、援助をする上で良好な関係を結ぶことが求められます。カウンセリングのように、時間が限定している場合はこれが必須となります。
一方、支援する時間が長く、継続的で終結が見えないような支援においては、適度な距離感を保つような関係を目指す必要があります。例えば、期限のないソーシャルグループワークやグループカウンセリングなどが挙げられます。
適度な距離感は、一見すると事務的で冷たい印象を持たれます。それを恐れて、支援者側が近づきすぎて良好な関係を構築し、対象者の中で支援者がとても大きな存在になってしまうことがあります。
良好な関係で、対象者の中での支援者の存在が大きくなることは、支援を行う上で問題がないように思われますが、その支援は終結を予定していないだけで、いずれは終わりを迎えます。その時に、その支援者のことはすぐに忘れられるような、簡単な思い出にする必要があります。
大切な支援者を失う喪失感によって、自立を妨げてはいけません。終結に向けて対象者が離れていきやすくする必要があるのです。